ぎんなん皮膚炎

 



みなさんこんにちは。先日ぎんなんを拾っていて顔が腫れ、手の皮膚がボロボロになった患者さんが来院されました。「ぎんなん皮膚炎」と伝えるとぎんなんでかぶれるなんて知らなかったと驚いていました。今日は「ぎんなん皮膚炎」について皆さんに説明しようと思います。


●ぎんなん皮膚炎とは・・・
「ぎんなん皮膚炎」とは、ぎんなんの実に触れる事でおこる皮膚炎です。正式には「ぎんなん接触性皮膚炎」と呼ばれます。
ぎんなんが実るこの時期に時々みられます。


●原因とは??
かぶれの原因は、外種皮に含まれる「イチオール」というもので、痒みやかぶれなどの症状を引き起こします。イチオールはギンゴール酸、ビロボールといった成分で、これらの成分が原因でアレルギー反応を起こします。
また、イチョウの葉にもギンゴール酸が含まれていて、ウルシなどのようにかぶれなどの皮膚炎を引き起こします。

 

●症状

症状としてはぎんなんにかぶれると、かゆみが強くでます。かゆみの他にも、真っ赤に腫れたり、水疱や発疹が出ることがあります。悪化すると全身にかゆみが広がってしまいます。
素手で外種皮に触れた際、指や手、また、その手で顔を触るなどして腕やその他の露出した部位にもよく症状が現れます。手の皮がむけてしまう人もいます。
また、症状がすぐに出る人もいれば、数時間後や2〜3日してから出るという場合もあります。こういった症状は時間の経過とともに、どんどんひどくなっていくこともありますので、症状が軽くても早めに医療機関の受診をおすすめします。

 


​●治療
治療は、炎症を抑えるステロイド剤の外用、痒みやアレルギー反応に対して抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服、症状が強い場合ステロイド剤の短期間内服も併用します。


●予防と対策方法
イチョウの木には近づかないことやイチョウアレルギーがあれば、イチョウの木のそばを通る時は、できるだけ肌を露出しないように、長袖・長ズボンをはいてください。
ぎんなんを触る際は必ずゴム手袋をし、素手で触らないようにしましょう。
イチョウはウルシ科ではありませんが、マンゴー、カシューナッツにピスタチオなど、ウルシ科植物にはイチョウ科植物の銀杏と抗原交差反応がありますので注意しましょう。
(交差反応とは同種の物質にアレルギー反応を起こすことです。)


最後に、ぎんなん皮膚炎になると赤く腫れて、水疱ができ、ひどいかゆみを伴います。小さいお子さまが、落ちているぎんなんに不用意に触れることのないよう気をつけてあげてください。
銀杏のアレルギーのある人は、イチョウの木に近づいただけでもアレルギー症状が出る人がいます。そのような人は、イチョウの木のそばを通る時は、用心してできるだけ皮膚を出さないようにしましょう。

これから、イチョウ並木の黄葉の見頃を迎えますので、行く際は気をつけてくださいね。

                                  川口皮膚科クリニック スタッフ